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レシピ動画サービスkurashiru [クラシル] を運営する dely 株式会社の公式ブログです!

【dely創業ストーリー①】創業者の出会い編

2014年4月に創業以来、2回のピボットを経て現在はレシピ動画サービス「kurashiru [クラシル] 」を運営しているdely。2017年5月にはiOS/Androidで同時1位を獲得するなど、今でこそ多くの方にご愛用いただけるサービスになりました。しかしここまでたどり着くには、2回のピボット、メンバーの激減など、幾度の危機がありました。計6回の連載を通し、dely激動の3年間を振り返ります。第1回目は、代表・堀江とCTO・大竹の生い立ちと、2人が出会って実際に起業するまでの2014年1月〜2014年7月を振り返りました。

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ーお二人(堀江、大竹)は、具体的にいつ頃から起業したいと思っていたのですか?

堀江:漠然と起業のことを考えたのは、2011年の春、僕が浪人中の時。元々体育教師になりたくて教育学部を目指していたんだけど、ちょうど受験日に震災を経験しました。

震災当日、1人宿泊先のホテルで「次何かが起こった時は、教師として目の前の生徒30人の人生を変えるんじゃなくて、世界にインパクトを与えられる存在になっていたい」と思っていました。

当時自分が目指すようなことをしていたのが、孫さんと本田圭佑さん。ただ、体育教師を目指している時点でアスリートになる才能が自分にはないことが分かっていたので、起業家になろうと考えたんです。

もともと、勝手な責任感みたいなものがあるのかもしれない。それで、体育教師になるのをやめて、浪人して慶應のSFCに進学しました。

 

具体的に「起業する」と決めたのは、2013年の年末です。もともと、現コーチユナイテッドの福崎さんがゼミの先輩で、よく家で料理作って飲んだり、仲良くさせてもらっていました。その関係で、ゼミの授業でコーチユナイテッド創業者の有安さんにお会いする機会がありました。

そこで「うちで働きに来なよ」と声をかけてもらったんです。元々起業したいという気持ちはあったけど何の知識もなく、インターネットの商売を学びたいと思っていたところだったので、インターンとして働かせてもらうことになりました。それが2013年の秋。

いざ働き始めてみたら、1日16時間くらい働いてしまうほど、仕事の面白さ・インターネットの面白さに目覚めてしまったんです。3~4ヶ月働いてみて、「自分で会社を作ったらもっと楽しいんじゃないか?」と思ってビジネスモデルを考え始めたのが起業のきっかけです。

 

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ー大竹さん(たけさん)は?

大竹:僕はもともと起業がしたかったというよりも、テクノロジーで世の中を変えたいという思いが強かったです。きっかけは高校2年生のとき、当時発売されたばかりのiPhone4に出会って「世の中にはこんな素晴らしい製品があるのか」と衝撃を受けたことでした。素晴らしい製品を作れば世界を変えられるんだと感じて、Appleが作る製品やデザインが大好きになりました。

その頃から自分でiPhoneのアプリを作って多くの人に使ってもらいたいと思うようになって、とりあえず「超入門 Objective-C」という本を買ってきてひたすら勉強しましたね。プログラミングを学ぶことでアプリが作れて、リリースすれば世界中の人に使ってもらえる楽しさを感じていました。

大学に入ってすぐの春学期、面白そうだと思って「起業と経営」という授業を履修して、SFCまで毎週1時間半かけて授業を受けに行っていました。そこでクックパッドの創業者の佐野さんの講演を聴く機会があったんです。

堀江:ちなみに後々分かるんですが、その授業僕も受けてたんですよ!たけさんと出会うのは2年後なんですが、「起業と経営」の授業を受けて二人とも影響を受けていたり、堀江貴文さんの講演を受けて僕が書いた「慶應のホリエモンがホリエモンに質問してみた」という記事をたけさんが読んでくれていたり、間接的な接点は出会う前からありましたね。

大竹:その授業はとにかく刺激的でしたね。佐野さんの「授業に出ないで逆方向の電車に乗って海辺で人生を考えていた」「いろいろ考えたけど世界を変えるなら食しかないなと思った」「37歳までに自分がやりたいことを見つけられるかで人生変わる」みたいな話を聞いて、そこからクックパッド創業につながるエピソードが本当に面白かったんです。その時にiPhoneで録音した音声はいまでも保護して残してます。

その授業のとある回で、たまたま隣の席に座っていた人に「日吉から毎日来てるの?」と話しかけられました。偶然同じ高校の同級生だったこともあって意気投合して、「俺ら今企画してるサービスがあるんだけど一緒に作ろう」という話になりました。

そのサービスは今のLINEみたいなメッセージングアプリをもっとポップに面白くしたようなアプリだったんですが、それから半年間ずっと勉強しながらアプリを作ってましたね。

結局それは初心者には開発が難しすぎて断念したんですが、ある程度できるようになったのでその後はアプリ開発のバイトを始めました。丸1年ひたすら業務でアプリ開発をさせてもらったので技術力はだいぶついて、イメージしたアプリはほぼ作れるくらいにはなりました。それが大学2年の夏くらいですね。

ーいつ頃から起業したいと思うようになったのですか?

転機になったのは大学2年の春と夏にインドとシリコンバレーにそれぞれ1ヶ月ほど滞在して現地のIT企業でインターンしたことです。

インドでは「インドのシリコンバレー」と呼ばれてるバンガロールという都市に滞在していました。いわゆる日本でイメージされる貧しい環境も数多くみましたが、一方でスケールの違う経済成長を体感しました。IBMやMicrosoftなどグローバルIT企業の巨大ビルがぼんぼん立っていて、その城下町にたくさんのITスタートアップのオフィスがありました。その町で優秀なインド人エンジニアが何十万人も働いているのを見て回りました。国全体に溢れる活気を感じて、日本との違いにショックを受けたことを覚えています。

インドにはカーストという身分制度がまだ残っていて、生まれた時点で決まった職業以外には就けないようです。でも、ITだけはカーストの中に定義されていない新しい職業で、貧困層の生まれでも必死で英語とプログラミングを勉強すれば仕事に就けて成功できます。そういった人々のハングリー精神がインドのIT産業を作り、経済成長を支えているんだと肌で実感しました。

一方で、シリコンバレーは面白いことを考えて新しいことを始める人が無数にいる「世界の最先端」だと実際訪ねてみて思いました。電車内では挨拶代わりに「君はどんなサービスをやっているんだい?」という言葉が飛び交っているし、カフェでコードを書いていれば「僕のサービスに興味ない?」と話しかけられる。コミュニティ全体が新しいことに対して寛容さがあって、積極的に応援していこうという雰囲気がありました。

シリコンバレーには誰もがテクノロジーの力を信じていて、それで世界を変えようと本気で思っている人が集まっていました。技術レベルの違いよりも、社会の雰囲気、文化や考え方の違いに圧倒されました。

 

2つの国に行って「日本で当たり前のことは世界の当たり前じゃない」ということを知りました。なので帰国したら周りのことは気にせずに自分の好きなことをやってみようと思いました。サービスをただ作るだけじゃなくて事業化してスケールさせたかったので、この時初めて「起業したい」と思いましたね。

帰国後、すぐに知り合いのエンジニアとデザイナーに声をかけて、2013年9月に飲食店の自動予約サービスを作り始めました。サービスローンチ前には、シード段階で500万円の出資の話もいただきました。

しかし、投資を受ける前のタイミングで、サービスを事業として拡大していく道筋が見えなくなってしまい調達を辞退しました。そこでチームのモチベーションも落ちてしまい、話し合った末に解散することになりました。約半年かけてサービスを作ったのですが、そのメンバーでは1つもサービスをローンチすることができずに解散してしまったんです。

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ーそして、2014年の1月。堀江さんとたけさんが出会ったきっかけはなんですか?

堀江:もともと、起業に興味のある人が集まるFacebookグループで繋がってはいました。ただ初めて会って話したのは、僕が起業するためにエンジニアを探していた時です。当時は、エンジニアを見つけるために100人くらいにメールをスパムのようにひたすら送っていたのですが(笑)、そのメールに初めて返信をくれたのがたけさんでした。

大竹:その時は前のチームが解散した直後だったので、これからどうしようかと迷っていた時期でした。

 

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※ 当時のメッセンジャー

ー綱島の上島珈琲での初対面では、どんな話をしたんですか。

堀江:どんなサービスを作りたいとか、今までどういうことをやってきたか、とか。綱島の上島珈琲で、かなり長い時間話していました。会ってもうその日に具体的に次はなにするかまで話してたよね。

ーお互いの第一印象はどうでしたか?

大竹:僕はまず、今まで会ってきた誰よりも人を惹きつける魅力が堀江さんにはあったと思いましたね。やりたいことが明確で、一緒にサービスをつくっていったら面白そうだと思ったし、嘘をつかない信頼できる人だと思いました。何より、僕ができなかったことを、この人と一緒にならできるんじゃないかと感じました。

堀江:僕は、たけさんからめっちゃ質問されたのを覚えてる。しっかり質問してくれるってことは自分のやろうとしているビジネスに興味があるということだから、純粋にうれしいなと思いました。

あと、一番大きいのはたけさんが1度サービス立ち上げに失敗した経験があったということ。失敗した人は自分の至らないところや弱みも分かっているので、いい意味で起業に幻想を抱いていないというか、本気で事業を立ち上げたい気持ちがないと、本気で話を聞いてくれないだろうと思ったんですよね。

大竹:自分が失敗しているからこそ、前のサービスでうまくいかなかったところに対して「この人はどう考えるんだろう」というところは気になったので、すごいたくさん質問をした記憶があります。それに対して事細かに説明してくれて納得感もあったので、すぐに「一緒にやってみたい」と思いました。

堀江:ちなみにどんな事業をやろうと思っていたかというと、今でいうUberEATSのようなフードデリバリー事業です。予約部分と配達部分を店舗に代わって対応するのが特徴で、いままで配達用の人員を確保できなかった店舗でもデリバリーサービスを提供できるというメリットがあります。最初はフードデリバリー事業から始めましたが、最終的には「物流をテクノロジーで変える」ということをしたかったんです。

ー他のメンバーもすぐに集まったんですか?

堀江:そうですね、たけさん以外にもかなり優秀なメンバーが集まった。たけさんとは出会った次の日から起業に向けて具体的に動き始めたし、僕が大量に送ったメッセージの効果もあって(笑)、1週間後にはメンバーが更に3人集まったんですよ。開発と営業もすぐに始めて、3ヶ月後の2014年4月に会社登記に向けて動き出しました。

大竹:びっくりしたのは、初めて会って起業することを決めてから1週間後くらいにはもうシード出資の話が決まっていたことです。他にも「もうそこまで進んだの?!」みたいなことがたくさんありました。

当時はオフィスもなく各自リモートで動いていたのですが、会うたびにものすごいスピードでことが進んでいって、堀江さんの行動力やパワーがものすごいことに圧倒されてましたね。

堀江:ちなみに、社名の「dely」ですが、ここだけの話、適当に付けた名前なんです。(笑) 本当は「delivery」の頭文字をとって「deli」にしようと思ってたんですが、ドメインが取れなかったので、ドメインの取れる「dely」にしました。

 

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※ delyの社名を決めるやりとり

ーそうだったんですね!登記も無事に終わり、ここまでは順調に思えますが…

大竹:ここからが、地獄でした。(笑)

堀江:まず、サービスがいつまでたっても完成しない。当初の計画では、2013年の冬にビジネスの構想を考え、2014年4月にローンチ予定だったので、2014年1月から開発と営業、資金調達を始めたんです。

にも関わらず、とにかく予定通りに開発が進まない。当時はオフィスもなかったのでそもそも進捗確認がしずらかったのと、僕たちの経験不足もあって、どの部分がどこまで進んでいるのかを全然把握できなかった。各々のメンバーの技術力はとても高かったんだけど、チームで力を発揮させるマネジメントに本当に苦労しました。僕とたけさんがSkypeで進捗を確認しても「いや、まだできてない。。」みたいな状態が続いて、全くサービスが形にならなかったですね。

最初は遠隔で働いていて、当時僕が住んでいた慶應の綱島寮で時々集まりながら準備を進めていたんですが、士気を上げるために一緒の場所で働いた方がよいということになって、途中からはEast Venturesのシェアオフィスを間借りして、6人のメンバーでひたすらローンチの準備をしていました。4月のサービスリリースに向けて、資金調達も終え、店舗への営業も進めていました。

 

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※当時のシェアオフィス

大竹:なのに、4月になってもサービスは完成に程遠い状態でした。

堀江:投資家にも提携先にも4月ローンチの予定で話をつけていたから、本当にしんどかった。投資家には「いつサービスができるのか」と会うたびに聞かれるし、そもそもプロダクトが出来上がっていない状態で営業するのも相当厳しかった。

配達員の手配もしなくちゃいけないのに採用の目処は立たないし、サービスを見せずに提携を決めてくれた店舗の人たちには、ひたすら「もうすぐできます!」と言って謝り続ける。まさに地獄。

大竹:結局、2014年7月に、3ヶ月遅れでサービスをローンチしました。
 

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堀江さんとたけさんが出会ってから半年。やっとの思いで、ローンチされたdelyですが、ローンチ後も波乱万丈が続きます。
次回は、delyサービス開始からクローズまでの激動の1年間を振り返ります。お楽しみに!

【お知らせ】
6/23(金)、弊社オフィスにて、経営陣3人が揃うdely初となるビジネス向けmeetupを開催します。「国内No.1レシピ動画サービスになるまでをdely経営陣が語る」と題して、delyが運営するkurashiruの開発ストーリーや「なぜ料理動画に参入したか?」というビジネス面での打ち手をお話させていただきます。
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